令和3年10月に発足した岸田政権は、今年6月末に1,000日を迎えましたが、多くの問題に直面し、支持率は低迷したままです。民主政においては手続の公正性つまり意思決定プロセスの透明性が重要であるものの、岸田政権の不透明な意思決定プロセスに対しては多くの国民が不信感を抱いています。
そこで、民主政の健全な発展を意思決定プロセスの透明性の観点から捉え直すべく、令和6年6月18日(火)、3つのテーマにつき各界の論客に検証していただく「岸田政権1000日を検証する」シンポジウムを開催し、多くの方にご出席いただきました。以下に簡単にご報告差し上げます。
1 テーマ1(裏金問題)
半世紀近く、自民党で多くの宰相に仕えてきた田村重信先生からは、「政治は変えられる。まずは行動しないと」「思ったことをやれない雰囲気を変えないと」という力強いメッセージをいただきました。行動で政治を実際に変えてきた田村先生のお話には説得力がありました。
東京地検特捜部副部長・公安部長、衆院議員2期3年を務められた弁護士の若狭勝先生からは、「今の政治資金規正法改正は“付け焼き刃”ではないか。政策活動費にメスを入れないと。政治資金規正法の解釈がご都合主義の“いいとこ取り”になっている」という鋭いご指摘をいただきました。
2 テーマ2(宗教問題)
参議院議員の浜田聡先生から、「家庭連合の解散命令請求は“力技”でおかしい。“法令に違反”に民法が含まれるとは思えない。政府もメディア報道も偏っている。この顛末を歴史に残すためと、裁判やマスメディアに対する牽制のため、家庭連合問題につき国会に質問主意書を出していく」という強い使命感をお示しいただきました。
ノンフィクションライターの窪田順生先生からは、「岸田首相は“空っぽ”ないい人で、敵がいない点が東條英機首相と似ている。東條政権が軍国主義に向かったのも、信念に基づくわけではなく、“空っぽ”で軍部の意見を容れたから。今の岸田政権も、ファシズム・全体主義に進むおそれがある」と、歴史的見地から警鐘を鳴らしていただきました。
若狭勝先生からは、「岸田首相は“ウソ”を付いている。“法令に違反”(宗教法人法81条)に民法を含むか否かにつき、2022年10月19日朝、小西洋之議員としっかり会って政治的に中身のある会話をしている。“関係省庁が集まって検討し、民法を含むと考え直した”のはウソ。閣議も開いていないし、関係省庁が集まってもいない。
“法令に違反”に民法を含むかは、その法令だけではなく関係法令から考えるべきで、会社法は“刑罰法規に違反”したときなのに、宗教法人法が広く民法を含むとは思えない」との具体的なご見解をいただきました。
3 テーマ3(LGBT問題)
埼玉県議会議員の諸井真英先生からは、埼玉県議会で、国に先立ちLGBT理解増進条例が成立した経緯について、「80%以上が反対だったのに、条例が通ってしまった。反対議論を押し殺して進む全体主義を感じさせる。この埼玉県議会の無理強い“風孔”となって全国に広まることを懸念している」との臨場感と危機感にあふれるお話を頂戴しました。
麗澤大学特別教授の髙橋史朗先生からは、大谷翔平が髙橋先生の曾孫弟子にあたり、大谷マンダラの「運を良くするためにゴミを拾う」のも髙橋先生のお考えに基づくことのほか、「性のグラデーション」を教科書に掲載するなど、多様性のみを強調するLGBT運動には強いイデオロギーが隠されていることの指摘をいただきました。
4 アンケート結果
会場に起こしいただいた方のアンケート結果は以下のとおりです。
その他、自由回答で以下の貴重なご意見をいただきました。
・時間を感じさせないバラエティと構成の良さがありました。また、各セッションの議論の深さがあるとともに、実例と理論がバランスされていました。
・ゲストが非常にハイレベルな方々が来ていて大変勉強になりました。中山弁護士のファシリテーションもお上手だったので、時間が守られて全体の運営も素晴らしかったと思います。
・とても勉強になりました。マスコミの一方的情報のみでなく私たちもしっかり学ぶことの大切さを感じました。ありがとうございました。
・一国民として、日頃からよく考えて生活しなければと思いました。世界、世の中のことをもっと知って、より良い社会にしていく為には国民自らが日頃の生活において努力する必要がありますね。パネリストの方々が日々孤軍奮闘していらっしゃることを知り、刺激になりました。大変良い学びになりました。
・ぜひ今後も継続してシンポジウムの開催をお願いします!参加します!
今後も、グローバルな視点から日本の民主政を健全に発展させるべく、様々な活動を続けていきます。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
一般社団法人グローバルチャレンジ 代表理事 中 山 達 樹